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ブラックホールについて 10の驚きの事実 [宇宙のふ〜ん。なこと]

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Photo Credit: NASA


想像してみましょう。

物質があまりに詰めっ詰めに密集してて
どこにも逃れようのない状態。
月も惑星も、光でさえも動けない。

それがブラックホール。
重力の引き込みが計り知れないほど巨大なため
あらゆるものが取り込まれ、
永遠の迷走へと落とし込まれる危険性をはらむ場所。








しかし、そのブラックホールはどうやって出来たのか。
なぜ重要なのか。
今日はブラックホールについての10の事実をあげてみました。
ブラックホールという神秘の魅力の
ほんのひとかけらです。


事実1:ブラックホールは見えない


ブラックホールという名前のとおり、
「黒い」ため、光やX線をあてようが何をしようが、
直接ブラックホールを見ることはできません。
その周辺の環境を観測する以外に
ブラックホールを感知することはできないのです。

ブラックホールはあらゆる物質を引っ張り込み
ズタズタに引きちぎろうとします。
ときにはひとつの星を飲み込むことだってあります。
まさにそれが我々にはチャンス。
星が引き込まれる時の加速、発熱を観測することによって
ブラックホールの存在を知るのです。


事実2:要注意!! 僕らの銀河にもブラックホールがある!


自然な疑問として、
地球がブラックホールに飲み込まれる危険性はあるのか。
というのが気になるところでしょう。

さあ、どうなのか?
天文学者たちの答えは〜 NO〜です。

我らの天の川銀河の真ん中には
超巨大なブラックホールがあるにはある。
でも、ラッキーなことに
それらのブラックホールからはだ〜いぶん離れた所に
僕たちはいるのです。

銀河の中心から半径の2/3の位置にある
太陽系というポジションは
恐ろしい怪物に脅かされることなく
その存在をきっちり観測できる
優れたポジションなんですね。

European Space Agency(欧州宇宙機関〉の調べでは
銀河系内のブラックホールが太陽の4万倍の規模を持ち
想像を絶する光熱のガスに覆われているそうです。


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Credit: X-ray: NASA/UMass/D.Wang et al., IR: NASA/STScI

射手座Aの合成画像=赤外線(ハッブル宇宙望遠鏡の捉えた赤、黄色)とX線(チャンドラ宇宙望遠鏡の捉えた青色)



事実3:死にゆく星がブラックホールをつくる


ここに太陽の20倍以上の規模の恒星があるとしましょう。
我々の太陽が命を終えるときは、とても静かです。
単に核燃料が切れて、ゆっくりと白色矮星になります。

しかし、20倍以上の規模の恒星の場合は、そうは行きません。
モンスターが燃料を使い果たした時
重力が、星が形を保つために持つ自然な圧力を圧倒します。

Space Telescope Science Institute(宇宙望遠鏡科学研究所)によれば、
核反応による圧力が崩壊すると、
重力がコア(地核)を破壊し、他の層は宇宙に投げ出されてしまいます。
この現象をスーパーノヴァ(超新星)と呼びます。

残されたコアが特異点(物質密度が無限となる点)へ向けて
潰れていゆくー これがブラックホールの別名なのです。


事実4:ブラックホールには色々なサイズがある


ブラックホールには
少なくとも3つの種類があるとNASAは考えています。
比較的小さなものから銀河の中心部を支配するほどのものまであります。

原始的なブラックホールが一番小さく、
たった1個の原子サイズから山程度の質量を持つものがそれに含まれます。

もっとも一般的なサイズは恒星大のもの。
この場合の恒星とは太陽の20倍以上の規模のものです。
おそらく天の川銀河には、これぐらいのサイズのブラックホールが
十数個あると思われます。

そして最後が、銀河の中心の巨大なブラックホール。
「超巨大ブラックホール」と呼ばれています。
このクラスになると、
ブラックホール1個の大きさが太陽の100万倍の規模とされています。
そんな形をしているのかは、未だ不明です。


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2つ連なるブラックホールを上から見た図

Image Credit: Bohn et al. (see http://arxiv.org/abs/1410.7775)



事実5:ブラックホールの周りでは奇妙な時間的現象が起こる


ある人(A)が今まさにブラックホールに吸い込まれていて、
その光景をもう一人の人(B)が見ているところを想像してください。
(B)の観点からは、(A)の腕時計がどんどんゆっくり動いているように見えます。

これはアインシュタインの一般相対性理論によるものですが、
簡単に言えば、
光速に近づけば近づくほど、時間の進み方が速度の影響を受けるというものです。

ブラックホールは、時間と空間を大きく歪めます。
(A)の時計をゆっくり進ませる一方、
(A)の観点からは時計は通常通り進んでおり、
(B)がとても速く動いているように見えるのです。


事実6:X線天文学なくしてブラックホールは見つからない


はくちょう座X-1は1960年代の気球実験中に発見されましたが、
これがブラックホールであるとわかるまでは、
更に10年の時を要しました。

NASAによると、
このブラックホールは太陽の10倍以上の大きさがあるそうです。
近くには太陽の20倍以上はある青色巨星があり、
ブラックホールはこの星からガスを吸収して
摩擦熱でX線を放出しているのが観測されています。


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HDE226868星からブラックホール「はくちょう座X-1」へガスが流れ込むイメージ図 (NASA/CXC/M.Weiss)



事実7:直近のブラックホールは地球から1600光年の距離じゃない


射手座のV4641 Sagitarii誤測定が
地球から一番近いブラックホールは1600光年の距離!
なんていう恐ろしい報告につながりました。

危険を意識するほど近いというわけではないですが
想像していたよりはかなり近かったんですね。

もっとも、後の研究で、本当は遠いということがわかっています。
ブラックホールの伴星の回転や他のファクターから見た
2014年の報告では
2万光年は離れているということです。


事実8:ワームホールの存在はまだ確認されていない


人気SFの題材で「人がブラック−ホールに落ちると何が起こるのか」
というのがあります。
例えば別の世界とつながっていたり、
光よりも速く移動できるといった
いわゆるワームホールを信じる人もいます。

しかし、我々人類は
未だに量子力学と一般相対性理論を統一する理論を持てずにいます。
ワームホールを収容できる時空構造が理解できないのです。

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ワームホール、または宇宙の2つの場所をつなぐ通路の理論図 Credit: Wikipedia



事実9:ブラックホールが危険なのは近づきすぎた場合のみ


檻の中の猛獣と同じで、
ブラックホールを遠く離れた場所から見るぶんには
何も危険はありません。
惑星の重力場の外から覗くのは大丈夫。
ブラックホールは、何でもかんでも飲み込んでしまうってことではないのです。


事実10:ブラックホールはSFの世界では超おなじみな存在


めちゃめちゃ多くのSF映画にブラックホールは登場します。
多すぎで数えられないほど。
『イベント・ホライズン』『スタートレック』『バトルスター』
『ギャラクティカ』『スターゲイト』などなど、
いろんな作品に登場しますよね。

このように、実際のブラックホールは
まだほとんどよくわかってなくて、
空想の世界でのみ、表情豊かな姿を見ることができるのです。



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