太陽系惑星の表面平均温度ってどんなもんでしょう [from 太陽系]
Credit: NASA
★ 生命を宿す唯一の惑星 ★
地球が、現時点の太陽系中では唯一生命を宿す惑星であることは
もうわかっていることですね。
地球以外の他の惑星は、
呼吸可能な大気がなかったり、
暑すぎたり寒すぎたりで、
生き物が命を維持することができません。
太陽から近い惑星は、
その熱に晒され熔解し、有毒ガスに満たされているため
とてもじゃないけど、地球型生物が存在することなんてできないし、
反対に太陽から遠い惑星は、
想像すらできない低温の闇に包まれています。
★ 平均温度は水金地火木土天海の順じゃない?? ★
さて、では太陽系で一番平均温度が高いのは
どの惑星でしょう。
当然、一番太陽に近い水星だ!
と思うでしょ?
でも、そうじゃないんです。
下のイメージを見てください。
Credit: Lunar and Planetary Institute
〈実は一番じゃない水星〉
水星は、太陽にもっとも近くにあるため、
強烈な光や熱を地球の7倍も受けています。
なので昼には表面の温度が465℃まで高くなります。
ところが、大気がほとんどなく、
自転の周期が58.65日と、非常にゆっくりしているので、
太陽の側を向いていない夜の面では、
熱がほとんど失われてしまうのです。
夜明け前には温度が-184°Cにまで下がるんだって。
ということで、平均の温度が、比較的低くなるってことなんですよ。
Credit: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington
〈優勝はビーナスさんです〉
太陽系の惑星中一番の高温は、金星でした。
太陽からは二番目に近い軌道にありますが、
金星には非常に厚い大気があり、
二酸化炭素と二酸化硫黄の分厚い雲に覆われています。
そのため二酸化炭素の強い温室効果がはたらき、
金星の表面の温度は昼も夜も470℃と、
太陽により近い水星よりも高くなっています。
Venus is an incredibly hot and hostile world, due to a combination of its thick atmosphere and proximity to the Sun. Image Credit: NASA/JPL
〈地軸の傾きが決め手〉
次は順当に、太陽から3番目の地球です。
地球は、我々が知る限り、太陽系で唯一
生命を育むことができる環境にあります。
平均の表面温度は-7.2℃ですが、
いくつかの要因によって、複雑に変化します。
その一つが地軸の傾き。
片半球が一定期間太陽に向かって傾いている時、
反対側が太陽の熱に当たらないため、冷やされます。
赤道に近い地域は暑く、極に近ければ寒くなるんですね。
ところが不思議なことに、
史上最高温度を記録したのはイランの砂漠(70.7℃)だそうです。
最低温度は南極(-89.2℃)で、これは妥当ですね。
A true-color NASA satellite mosaic of Earth.
〈熱を保てない火星〉
火星の平均表面温度は-55℃ですが、
この赤い惑星も、地球に似た季節があります。
太陽が当たっている表面の赤道付近では20℃まで温度が上がり、
極付近では-153℃まで下がります。
平均すれば地球よりもだいぶ低く、
生物が生きていくにはほんの少し無理がある。
そんな環境です。
楕円軌道も、温度差を生む要因でしょう。
大気は二酸化炭素が主成分で、大気圧は6~9HPa(ヘクトパスカル)程度と非常に薄いので、表面の熱をうまく保っていられないんですね。
Mars’ thin atmosphere, visible on the horizon, is too weak to retain heat. Credit: NASA
〈巨大なガス玉=木星〉
木星には固い地表はありません。
だから表面温度と言うのはむずかしいですが、
木星の雲の上から測定した温度は-145℃です。
中心へ行くほど温度は上がります。
大気圧は地球の10倍はあるんですが、温度はというと
地球人からすると「室温」と言える21℃。快適ですよね。
どんどん中心へ行けば、なんと35,700℃。
太陽の表面より熱いんだって。びっくり。
A true-color image of Jupiter taken by the Cassini spacecraft. The Galilean moon Europa casts a shadow on the planet's cloud tops.
〈冷たいガス玉=土星〉
木星と同じように、土星もガス玉なんですが、
太陽からの距離が遠いため、土星の場合、
平均温度-178℃の冷たいガス玉とでもいいましょうか。
軸に傾きがあるので、北半球と南半球は違う具合に暖められ、
季節の温度変化があります。
そして、これも木星と同じように、大気の上の温度は低いですが、
中央に行くほど熱くなります。
核部分では11,700℃までになるそうです。
Saturn and its rings, as seen from above the planet by the Cassini spacecraft. Credit: NASA/JPL/Space Science Institute/Gordan Ugarkovic
〈一番冷たい天王星〉
天王星は太陽から7番目に位置する惑星ですが、
実は太陽系で一番冷たいのです。
なんと、-244℃です。
最大の要因は、惑星の核にあるようです。
木星、土星などのガス玉と同じく、
天王星の核は太陽から吸収するよりもかなり多くの熱を放出しています。
が、木星や土星の核が非常に高い温度なのに対し、
天王星の核の温度は4,737℃なんです。
これは木星の1/5、土星の約半分の温度。
表面温度、低い訳です。
Uranus' moon Ariel (white dot) and its shadow (black dot) were caught crossing the face of Uranus in this Hubble Space Telescope image.
〈やっぱり冷たい海王星〉
太陽系の一番外側を回る惑星=海王星は、
やっぱりその距離だけに、冷たいです。
大気の上部温度は-218℃。
これも同じくガスの中心に核を持っていて、その温度が7,000℃。
この核のお陰で天王星よりはちょっと暖かいということでしょうね。
Neptune photographed by Voyager 2. Image credit: NASA/JPL
このように、太陽系のほとんどの場所は
極熱もしくは極寒で、
おおよそ生物が生息できるところなんてありゃしないってこと。
地球って、なんて素敵な惑星なんでしょう。
奇跡が産んだこの絶妙のバランス。
ありがとう! 地球!
大事にしないといけませんね。